<< June 2019 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
<< 仁義なき戦い(1973年) | main | ある貴婦人の肖像(1996年) >>

スポンサーサイト

0

    一定期間更新がないため広告を表示しています

    スポンサードリンク * - * * - * -

    ロスト・ハイウェイ(1997年)

    0

      なにを隠そう(べつに隠してないけど)、わたしはデビッド・リンチが好きである。


      先日、友人にこのことを話すと「信じられない」と怒られた。なしてそんなに怒るの? と問うと、友人いわく、「『エレファント・マン』での、身障者に対するあの感覚が許せない」のだという。

       

      そうか……そういう感じ方もあるんだな、と思った。じつはわたしも『エレファント・マン』は好きではない。

       

      でも、ちょっとリンチの肩を持つと、あの映画は、初めてのメジャー作品だったがゆえに、リンチの独特の資質をより多くの人に理解してもらえるようなテーマとして選択したつもりだったのではないか、と思うのだ。

       

      実際、それ以後の作品を見るかぎり、あえて(無理して)特異なテーマを選んでいるのではなくて、あれが彼の資質なのだ、ということは明白で、結局、より多くの人ではなく、固定客をつかむことを選んだリンチの方向性は、彼自身のために正しかった思う。

      などといってみたが、わたしはそんなにリンチの映画を観ているのだろうか。思い出せるかぎりを上げてみると、

        ・エレファント・マン
        ・砂の惑星
        ・ブルー・ベルベット
        ・ワイルド・アット・ハート
        ・ツイン・ピークス(テレビシリーズ)
        ・ツイン・ピークス── ローラ・パーマー最後の7日間

      といったところ(『イレイザーヘッド』を観ていないのは、けっこう重大な問題かもしれない、という気がする。ちょっと……あまり観たくないけど、ファンなら観るべきなんだろうな)。

      一番はまったのは、じつはテレビシリーズの『ツイン・ピークス』である。毎日2本ずつビデオを借りてきて、あきることなく観続けた。あの、ダラダラと脈絡なく、しかし毎回みどころと謎を用意して延々と続けられた不思議な物語は、わたしの体内リズムとみごとにフィットして、「わたしはリンチと相性がよい」ことを決定的にした。

      リンチの映画が好きな人は、たぶん、「夢」(夜、布団の中でみる方ですよ)をよくみる人、しかも起きてからもその内容をよく覚えている人ではないか、と思う。『ブルー・ベルベット』以後の彼の作品は、まさに「夢」と同じ文法で作られているからだ。

       

      理屈で割り切ろうとしてはいけないのである。それがどんなに変なことでも、どんなに現実的ではなくても、起こったことをそのまま受けいれていけばいいのだ。はっきりとしたオチがないこともまた「夢」とよく似ている。

      わたしは、こうしたリンチの文法をなんの抵抗もなく受け入れることができる<タイプ>のひとりである。それはたぶん、「『夢』のなかで起こったできごとも、自分の人生の一部」だと思っているからだろう。

       

      内田善美(少女マンガ界の至宝。『星の時計のLiddell』という作品に、彼女の「夢」に対する解釈を見ることができる)風にいうと、<夢に囚われた人>への道程を着々と歩んでいるのかもしれない。

      でも、だからといって、リンチの作品はけっして絵空事ではない。人間の<記憶>ほど不確かなものはなく、「夢」だと思っていたことがじつは「現実」だったり、その逆だったりすることはままあるわけで、リンチの描かんとしていることが、じつは日常の隙間にゴロゴロころがっている<悪夢>だったりするわけだ。

      前置きばかりになってしまった。

       

      『ロスト・ハイウェイ』は、まんまリンチ(笑)である。しかも、2回も続けて観てしまった。大丈夫だろうか、わたし。

       

      しかし、好きな映画っていうのは、2回観るとどうしてこんなによくわかるのだろう。細かいところをチェックしようと観始めたのだが、ドミノ倒しのように頭の中に入ってきて、気味が悪いほどだった。

       

      妻殺しの容疑で監獄に入った主人公。看守が覗いて見ると、いつのまにか別人に変わっていて、その別人の前に、主人公が殺した妻そっくりの女が現われ……ストーリーの説明をするとよけいもどかしいからやめるが、リンチが好きな人なら、たぶん楽しめる映画である。

      嫌いな人は、もちろん観ないほうがいいですよ。

      印象に残ったセリフ。カメラが嫌いな主人公が、それはなぜ? と尋ねられて答えたことば。
       

      「記憶は自分なりのものだ。起こったとおりの形で記憶していたくない」

       

      デビッド・リンチの資質を、あますことなく伝えている。
       

      監督:ディビッド・リンチ

      出演:ビル・プルマン、マイケル・マッシー、ジョバンニ・リビシ、ジャック・ナンス ほか

      JUGEMテーマ:映画

      nancy * 映画(ラ行) * 13:30 * comments(0) * -

      スポンサーサイト

      0
        スポンサードリンク * - * 13:30 * - * -

        コメント

        コメントする









        このページの先頭へ